スイミングスクールに通って四泳法を習い終わり、泳力が上がってきて、だんだん速く泳げるようになってきたある日、先生から選手育成コースにとお声がかかりました。
選手育成コースの存在を初めて知り、「すごい、やったねー」と娘と喜び合いました。
娘もやりたいと前向きだったので、とりあえず、勢いのまま”何事も挑戦”ってことで、やらせてみたのですが、これが結構大変でした。
勉強時間の減少、他の習い事の休会や振り替え、家事育児の負担増加など、いろいろなところにしわ寄せが行きました。まだ低学年にもかかわらず、中学受験塾との両立はハードルがかなり高いことが分かりました。
事前にもっと検討すべきだったなと思います。
水泳に限らず、サッカーや野球などの他のスポーツでも同様かもしれません。中学受験との両立は困難を極めるでしょう。
結局、別のスイミングスクールに移って、一般の小学生のコースに入り直す事にしました。
目次
1.選手育成コースってこんな感じ
その名のとおり、選手を育成するためのコースです。なるための基準や練習内容はスクールによります。
うちの子のスクールでは、こんな感じでした。
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- 先生の推薦が必要
- 週1回⇒週3回以上になる(土日は練習ナシも可)
- 1レッスンの時間が約1時間⇒約90分と長くなった
- 泳ぐ距離が1000m?1500m?と長くなった
- 料金が少し上がった
- 長期休みに合宿がある
- 選手ではないので公式大会にはまだ出られない
- 基準がなく誰でも出られるような非公式な試合には出場可能(娘は出場経験なし)
この上には選手コースがあり、そのコースになれば、日本水泳連盟に選手登録して、公式な大会として認められている競技会や記録会に出たりするようでした。
選手コースに行くには、選手育成コースで力をつけて基準をクリアしたらいけるようです。(←この辺、素人なのでよく分かりません)
そこに行くまで、競争も激しくなりますし、練習もハードです。なかなか険しい道のりだと感じました。
2.辞めたいと言い出した
選手育成コースになり、始めは意気揚々と練習に行ってた娘ですが、だんだんイヤになってきて、2ヶ月程しか経たないうちに、プール行きたくないと言うようになりました。
①疲れるからイヤ
もう疲れすぎてイヤだとのこと。
週3回通う事にしたのですが、週3はかなりの負担でした。しかも1レッスンあたりの時間も泳ぐ距離も各段に長くなり、練習量が急に増えたので、帰宅してご飯食べた後は泥のように寝てしまう日もありました。
お風呂も入らず、歯みがきもせずに・・・。
②先生の指導が厳しくなって楽しくない
レベルアップできたのは娘も嬉しかったのですが、一般のコースと違い、厳しく指導されるようになったのがイヤだったようです。「先生が厳しいからつまらない、前のコースが良かった」と言われてしました。
選手を育成するためのコースなので、当然指導もそれなりに厳しくなるようです。まだ小2なので、まだまだ全然優しい方なんでしょうけど、精神年齢的に学年以上のものが求められている感じがしました。
③周囲の子が速すぎ
選手育成コースになると周りの泳力がすごいです。先に上がった子達と一緒に練習することになったわけですが、当然みんな速いです。
うちの子は下から何番目だろう?って感じで、ついていけてませんでした。
急にレベルが上がり、ワンピース初期で言うグランドラインに入ったところみたいな感じでしょうか。先にこのコースに上がったお子さん達とは、まだまだ圧倒的なレベル差があります。
先生から選手育成コースに誘われ、娘の才能を認めてもらえた感じで嬉しかったのですが、我が子はまだまだイーストブルーのレベルだったんだなと思いました。
ここで「負けて悔しい」と頑張る子なら向いてるのかもしれません。
娘も悔しがってはいるのですが、残念ながら”つまらない”と”つらい”が先にきてしまっていました。
④本を読む時間がほしい
娘は本が好きです。ゆっくり読書に集中している時間こそ、娘の至福の時。朝ご飯食べながらとか、トイレの中でさえ本を読む程です。(←もはや注意するのやめました)
もっと読みたい本がたくさんあるのに読めない事が苦痛だそうで、もっと自由な時間が欲しいと言われました。
3.様々な事に支障が出てきた
上記のように子供もやりたくないと言うようになりましたが、親としてもいろいろ大変でした。何気に他のところにしわ寄せが行ったりして、生活が一変しました。短い期間でしたが、下記のような感じで様々な事に支障をきたすようになりました。
①終了時刻が遅くて生活リズムが狂う
終わる時間が少し遅いので、帰ってくると20時を過ぎます。疲れてすぐに寝てしまう日もありますが、そうじゃない日は、夜更かししがちです。
そこからご飯食べてお風呂入って、10時までに寝るよう頑張りますが、なかなか大変です。
夜更かして疲れているので、次の日の起床が遅くなって悪循環です。学校に遅刻しそうになる事も何度かありました。
②中学受験との両立は厳しいと感じた
学校の宿題は、優先的にやっているのですぐ終わるのですが、問題は塾の勉強です。
サピックスだと小3までは週1しか通塾しないのですが、それでも毎週のデイリーサピックスを終わらせるのが、やっとの状態。
塾にプラスして前からやっていた先取り学習もストップしてしまいましたし、コースの昇降がかかった組分けテストや確認テストの対策も満足にできません。
コース維持がきつかったです。
スイミングの日は、夜勉強する時間も体力もなくなります。プールのない日に回すか朝早起きして勉強するかです。
学年が進んで小4になったら、塾の授業の回数も増えますし、スイミングの時間と被ってしまいます。
まだまだ選手育成コースで、サピも低学年で週1なのに両立が危うい状態では、今後中学受験と選手との両立は相当難しいなと思いました。
どこまでのレベルを求めるかにもよりますが、例えば御三家レベルの難関中学合格&水泳でも全国上位入賞するとかだと、かなりムリがあると思いました。
中にはそれをやってのける才能あふれるお子さんもいるのかもしれませんが、やってみて相当ハードなのが分かりました。もちろん、頭ではハードだと思っていたのですが、やってみてあらためて思い知りました。
やっぱり1日24時間と時間が限られていますから、両立は難しかったですね。
うちの娘の場合、どちらも中途半端になってしまいますので、どちらかに決めた方が良さそうです。
お金がかかりますが、集団塾でなく個別塾や家庭教師ならば、比較的両立しやすいのかもしれません。しかし、それでもハードルが高い事には変わりないなと感じました。
③他の習い事を続けるのも難しい
塾だけでなく他の習い事も続けるのが難しく、習い事の取捨選択が必要だと感じました。
何かを得るためには、時に何かを切り捨てなければなりません。
平日の放課後、スイミングで3日取られるため、娘と相談して休会した習い事もありました。どうしてもやりたい習い事は振り替えたり、曜日を変更したり…。
選手育成コースで頑張るなら、他の習い事を全て続けるのは、とても無理なので、どれかをやめるしかなさそうな状況でした。
④親の負担も大きい
親の負担も大きくなります。
終わるのが遅くなるので、迎えに行きましたし、洗い物が増えて洗濯が大変でした。あと、出費も少し増えました。
出費はちょっと増えた程度で負担感はそんなにありませんでしたが、平日夜にお迎えが週3もあると、家事の時間が圧迫されてしまい、急に忙しくなりました。
⑤イベントや体験する機会が減った
家族で出かけることが減り、子供と一緒に参加したいと思っていたイベントに参加できなかったり、遊びに行く機会や様々な体験をする機会が減ってしまいました。
⑥友達と遊べない
そういえば、選手育成コースにいた期間、お友達とほとんど遊べなくなりました。その前は、週に1回くらいはお友達と遊んでいたのですが、そういう時間すらなくなりました。
まだ低学年で友達と遊ぶ時間もほとんどないのは、逆に問題かもしれません。
⑦下の子と遊ぶ時間が減った
下の子にも影響しました。上の子のために時間を費やすあまり、私が下の子と遊ぶ時間が減ってしまいました。
土日は下の子と遊ぶ時間もありますが、平日は相手する時間がほとんど取れなくなりました。
普段保育園の下の子にとって、親と過ごせる貴重な時間を削られてしまうのは、かわいそうでした。
4.結局スクールを変更
選手育成コースをちゃんと続けていくためには、塾を辞めるしかないと思いました。少なくとも小4になる前までには、どちらかに決めておかなければ、どっちも中途半端になってしまうという懸念がありました。
でも、一番大事なのは娘の気持ちかなと思い、娘に選ばせることにしました。
「習い事多すぎると思わない?スイミングの今のコースから選手コースにいくためには、サピ辞めて、習い事もどれかやめた方がいいと思うし、逆に中学受験で成功したいならスイミング辞めた方がいいと思うけど、どうする?」と。
いろいろ聞いたところ、
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- 選手育成コースはイヤだ
- でもスイミング自体は好き。週に1回だけの楽しかったスイミングに戻りたい
- サピックスは絶対に辞めたくない
- 水泳の金メダルよりもサピックスの金メダルや賞状が欲しい
- 休会している習い事にもまた行きたい
という感じでした。
正直、サピの金メダルが欲しいと言ってくれたのがとても嬉しかったです。
よくぞ言ってくれました!
私の顔色うかがっているのかと思い、本当に水泳の選手はいいの?と何度も聞きましたが、どうやら本心のようでした。
試しに「サピで頑張って水泳強い中学に入る事もできるよね~。どう?」って聞いてみたら、「水泳強い中学より頭のいい中学がいい」とのこと。
ということで、娘の気持ちも確認できたので、選手育成コースやめて前のコースに戻してもらおうとしました。
グランドラインはムリなので、イーストブルーに戻してあげようと…。
しかし、窓口で手続きしようとしたら、先生が登場しました。
(そういえば、GLからカームベルト抜けて出ようとするとそこに海王類がいるんだった…)
そして、先生が説得してきました。
事情をいろいろ話ましたが、なかなかご理解いただけず、話しているうちに、なんだか通いずらいなーと思い始めました。
それに前のコースに戻してもらっても、せっかく薦めてくださった前のコースの先生にも申し訳ないです。
なので、結局は辞めて別のスイミングスクールに入り直すことにしました。
娘にとっても新しい環境でノビノビ楽しくやった方が良さそうだと判断したのです。新しいところで、また選手育成コースのお誘いが来て、娘がやりたいと言ってきたら考えようかなと思います。
5.最後に
今回、選手育成コースなるものを初めて知り、先生から誘っていただいて嬉しく思いましたが、塾との両立は思っていた以上に大変だと感じました。
他のスポーツや習い事でも同様かもしれません。まだ小学生とは言え、高いレベルでやろうとすると、大抵の場合、塾との両立は厳しく、どちらかを選ばざるをえなくなるものだと思いました。
今回の件で、結果的に早めにどちらかを選ぶ事ができたのは良かったかなと思いました。