国や自治体等の施策として助成金、補助金、委託費などいろいろあります。国のとある補助金事業で我が社も採択されて、「おぉ、国からお金が出るのか~、やったねー」となった事があります。
採択された事業の場合、金額の上限があるとは言え、人件費、旅費、事業に必要で買ったモノ、その他経費等(何が対象かはそれぞれの施策による)、コストの部分でお国からお金が出るのです。
他社から見たら羨ましいことでしょう。
会社の負担やリスクが減る(はず?)事が見込めるのですから一見良い事ばかりに思えます。
だけど、喜んでばかりいられない現実もありました。ここからが大変なのです。公金いただけるとは言っても、実はデメリットもいろいろあってコワいですよ。
私も業務の一部として、それを少しだけ手伝った事があるのですが、かなり大変でした。ちょっと特殊だなとも思います。上が決めた事だから仕方ありませんが、これに手を出さない方が良かったんじゃない?って思わなくもありません。
事業の詳細は書いちゃいけないので省きますが、思った事を書いてみました。(ちょっと愚痴です)
目次
補助金と委託費は違う
補助金と委託費、どちらも会社にお金が入るのですが、結構違いがあります。
補助金は、国や自治体等からもらえるお金。基本的には会社のやる事業を補助してくれるというものです。
委託は国や自治体の仕事を会社が請け負うもの。契約を交わし、その業務をやる代わりにお金が支払われます。
国や自治体の事業なので、事業するために買ったモノの中で資産になるようなモノは、会社のモノではなくて、正確には国や自治体の財産となってしまうのです。まあ、ちゃんと手続きもすれば会社でそのまま使えたりもするのですが。
補助金だと、それは会社の財産で会社のモノとなります。
とまあ、大まかには、こんな感じで違いがあります。
事務作業が膨大
その補助金の何が大変だったのかというと、事務作業が膨大であることです。そうじゃない補助金もあると思いますが、我が社がいただいた補助金では作業が大変でした。
補助金によるのかもしれません。
そろえなければならない書類が少ないなら楽なんですが、補助金やら委託って結構事務作業がたくさん発生してしまいます。
人件費は国や自治体から出るのですが、まあだいたい足が出るものですよね。逆に作業のために余計な人件費(時間的コスト)や労力が発生してしまってるような気がします。
申請する時の書類作成
申請しても通らなかったりする補助金もありますので、結構頑張って書類を作ることになります。我が社の事業はこんな素晴らしいんですよと、いろいろ書く項目があるんですね。
何十ページにも渡る書類を準備し、更にお役所のよく分からないシステムに、会社や事業について、いろいろ入力して登録したりもします。
申請だけでも頑張ると結構大変です。
でも、ここまではまだマシ。
採択されずに落ちれば、ここで終わりますから。正直、落ちて欲しかったというのは関わった下々の従業員みんな思ってたと思います。
補助金で発生した経費などの書類の整理
弊社の場合ですと書類の量が段ボールで1箱分くらいになりました。普通こんなに紙使わないですよ…。
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- 事業で関わった従業員の人件費の書類(出勤時間を証明、作業した内容、支払った給料を証明する書類など)
- 買ったモノの書類(見積書、発注書、請求書、納品書、撮影した写真など)
- 出張旅費の書類(出張の伺いの書類、出張の経路や金額を示す書類、出張報告書、旅費の支払いを証明する書類など)
- 会議にかかった経費の書類
- 光熱費関係の書類など
いろいろ、そろえなければいけません。
こうして項目に挙げただけですと、あまり大変さは伝わらないかもしれません。
社内ルールで書類を揃えるだけでしたら、そんなに大した事はないんですけどね。
公金を使わせていただくので、国や自治体の細かいルールに従わなきゃいけなかったりするのが、大変です。
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- 一番安いモノを買ったのを示すため、見積もりを複数社から取り寄せる
- 出張も一番安い経路になるようにする
- タクシー使ったら理由を整理してないとダメ
などなど、いろいろ細かいルールがありますから、事務負担が余計に大きくなるんだと思います。間違ってないかの突合せ作業もありますしね~。
このあたりのルールは省庁、都道府県庁、市区町村の役所によっても違うのかもしれません。
書類や現場を確認しに来るお役人様の対応
弊社には、年度の途中と年度末の2回ほど、お役人の方々がやってきました。上記の会計関係の書類が整っているか、買ったモノがちゃんとあるか、事業の状況など確認されます。
書類は、見やすいようにプリントしたりコピーして全て整理しておくことが求められます。お役人様の心象良く、書類を見やすくしといた方がいいですし、ちゃんとやってますというアピールのためもあると思います。
あれがダメ、これがダメといろいろご指摘を受けて、現場はてんてこ舞いでした。キィーーーッ!!
この対応にも人が拘束されますし、細かいところまで指摘されるので、地味に大変です。
あー、心が削られました!
年度末に役所に提出する事業の報告書・清算関係の書類
年度末になると、事業の報告書やら清算関係の書類を出さなきゃいけません。補助金にもよるのかもしれませんが、弊社が受けた補助金はかかった経費は会社が支払って、事業の期間内でしめてから清算という感じでした。
ここまでくればもうすぐお金が入るので、もうひと踏ん張りですが、結構細かい作業が大変です。
会計検査院が来るかも?
事業が終わったからと言って、まだ安心できません。
それは会計検査が来るかもしれないからです。指摘されて金返せーってなったりするらしいので、しっかり書類を保存してとっておく必要があります。
コワいですよね~。
ちゃんとできるならいいのですが、できないなら、最初から手を出すべきじゃないなーと思います。
事業は失敗している
お国からお金がもらえて、事業がうまく行っているかというと、我が社は失敗ぎみです。ここから成功に導くのはかなりムリがあるので、早めに損切るべし…とか思います。
まあ自分達の実力不足なんですけどね。
もらったお金で成功するのは難しいのかもしれないなーと思います。
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- 弊社が受けた補助金の制度上は、失敗してもある程度のお金はもらえるので大きなダメージはない(施策によって異なると思う)
- 本気モードで社運がかかった事業は国や自治体に頼らず自己資金や融資を受けてやる
- 施策に事業を無理やり合わせて申請して、そもそもムリがある内容だった(←マニアックな事業内容をお役人様が見抜くのはまず不可能)
- 国や自治体の施策や制度に縛られて、方向転換ができない
- この事業が成功して収益が出たら納付しなきゃいけない(補助事業による)逆に成功させない方が得なのでは…と思ったりする
- 社員達のこの事業に対するモチベーションが低い(採択されちゃったから仕方なくやってる感じ)
こういう感じなので、成功する望みがほぼありません。
特に収益が出たら納付ってのは、あまり知られていませんよね。収益納付しなきゃいけないかは、その補助金によるみたいですが、何で?って感じです。
事業を成功させたいのなら、補助金や委託に頼らない方がいいような気がしています。
他社さんの事は存じ上げませんが、弊社と似たような状況の企業さんもあるんじゃないでしょうか。
最後に
国や自治体の仕事を受注できたり支援してもらえる、補助金や委託費は、会社としては美味しいと思います。それに、公的機関が味方についてもらえるなら、いろいろと得する部分もあります。
しかし、縛りがいろいろあったりしますし、会社としての負担も結構大きくなってしまいます。
制度上、もっと負担を少なくしてくれたらいいのにと思います。
やめた方がいいと思うんだけど、相変わらず弊社はいろいろな補助金に申請しようとしています。お願いだから落ちてー!
事業を成功させたいのなら、実は補助金とかに、あまり頼りすぎない方がいいのかもしれないなーと思う今日この頃でした。